漢方薬で身長は伸ばせるっていう噂は本当?

現在、西洋医学において身長が伸びる薬は存在しません。

成長ホルモンの分泌に問題がある子供向けの治療薬というのはありますが、効果がみられるのはごく一部の子供だけ。誰でも飲めば一定の効果が期待できる薬は、残念ながらありません。

では、西洋医学とアプローチの違う東洋医学、漢方薬ならどうでしょうか?

一部の漢方薬局では、身長を伸ばすことに漢方薬の活用をすすめています。

今日は、漢方薬の基本的な考え方を押さえながら、身長を伸ばすことに有効かという検証をしてみたいと思います。

漢方薬の考え方はサプリメントに近い!?

まず、漢方薬とはなんでしょう?

定義は様々で、専門的には東洋医学の概念などを知る必要がありますが、端的にいうと、自然の植物など生薬を組み合わせた薬です。

なんとなく、普通の薬より効きにくいというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、それは身体へのアプローチ方法の違いのせいです。

イメージをシンプルにするため、機械にたとえて、それぞれのアプローチを見てみましょう。

ある工場の製造用の機械が故障したとします。

原因を調べると、ネジが外れてしまっていたからでした。

さて、この機械を直すには?

西洋医学的なアプローチだと直し方はシンプル。

「ネジを付け直す」これで元通りです。すぐ直りました。

一方、漢方的なアプローチだと直し方は全く変わってきます。

「制振用のゴムを機械の全体に設置する」外れたネジは二の次です。

ネジが外れた理由は機械の日常的な振動にあるので、それを直さないとネジだけ直しても再発するからという考えからです。

西洋医学 ⇒ 悪い部分を直接治す
漢方 ⇒ もう悪くならないように全体を治す

ということですね。

言い換えれば、漢方の本質は根本治療。つまりは体質改善にあります。時間をかけて体質を改善していく。その考え方は私たちのイメージする薬より、サプリメントに近いものがあるのです。

結論!漢方薬で身長を伸ばすことはできるの?

残念ながら、漢方薬にも直接身長を伸ばす薬はありません。

身長が低いというのは、基本的に病気ではありませんし、体質というわけでもありません。(体質というよりは遺伝・体型です)薬では改善しようがないのです。

ただ、人によっては活用次第で身長を伸ばす助けになるかもしれません。

たとえば、虚弱体質の子供です。

すぐに疲れてしまう・風邪をひきやすい・胃がもたれやすい…などを感じる場合は、いわゆる虚弱体質かもしれません。主に内臓の働きが悪いのが原因です。

胃が弱いとしっかり食べることができませんし、腎臓や肝臓は体内で成長ホルモンをつくる大事な臓器、きっちり働かないと身長の伸びを阻害することになりかねません。

また、運動してもすぐに疲れてしまうので、続けることができません。

これらを、もし漢方薬で改善できれば、身長を伸ばすために重要な三大要素「食事・運動・睡眠」のサイクルが回りやすくなります。間接的にですが、身長を伸ばすことに役立っています。

まとめると、直接的に、誰にでも有効な身長を伸ばすことができる漢方薬はありません。

ただ、食が細い(胃腸の働きが弱い)など体質的に弱点がある子には、使い方次第で有効になる可能性を秘めています。

健康な子供にはサプリメントの方が適しています

長い時間をかけて、体を内側から変えていくという点においては、漢方薬もサプリメントも同じ発想です。

ただ、成長のために必要かつ、普通の食事だけではとれない栄養を毎日補給できるため、サプリメントの方が身長を伸ばすうえでは有利です。

そもそも、何も体に悪いところがないのに薬効をもとめるのはおかしいですね。

身長を伸ばすためには、骨の土台となるたんぱく質を中心に、カルシウムなどのミネラル類、成長ホルモンをつくるためや、体内で他の栄養素が働くために役立つビタミン類など、総合的な栄養が必要になってきます。

身長サプリメントといわれる製品の中には、これらの栄養素を成長期に合わせて配合しているものと、成長ホルモンの分泌させることを狙った薬的なものがあります。

もちろん、選ぶべきは前者です。

繰り返しになりますが、健康な子供が薬効をもとめるのはおかしいですから。また、後者のサプリは宣伝通りの効果があることは、まずありません。

身長サプリメントの選び方はこちらの記事で詳しく紹介しています。買って後悔する製品もたくさんあるので、購入を検討中の方は、必ず読んでくださいね。

付録:症状別、体質改善に役立つ漢方薬

最後に、身長を伸ばすのに間接的にですが、役立ちそうな漢方薬をご紹介します。あくまで薬効に注目しただけなので、子供でも飲めるかなどは専門家の指示をあおいでください。

食欲がわかない・小食・食が細い

漢方では、胃腸の状態を重視するため、薬の幅も広いです。基本的には薬用人参が使われている人参湯類の薬がよく使われます。

比較的、科学的な研究がすすんでいるのが、六君子湯 (りっくんしとう)という薬です。

グレリンという食欲を増進させるホルモンを分泌することも科学的にわかっていますので、もともと食が細い子供にも良いかもしれません。

・六君子湯(りっくんしとう)
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
・平胃散(へいいさん)

すぐ疲れる・元気がない・慢性疲労

漢方では「気・血・水」という生命が活動するための大事な3つの要素の調和がとれていないためと判断します。

「気」はエネルギー、「血」は血液、「水」は血液以外の水分(胃液など)を指します。基本的に胃腸の状態の改善が第一ステップですので、多くは食欲不振で使われる薬と重複します。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう
・人参養栄湯(にんじんようえいとう)
・四君子湯(しくんしとう)
・六君子湯(りっくんしとう)

眠れない・眠りが浅い・不眠

漢方薬では、薬の効果で眠らせることは狙いません。不眠の原因解消を目的に薬を使います。副作用が多く指摘されている睡眠薬とはアプローチが違うので、より自然な形で眠れるようになるというメリットがあります。

具体的な不眠の症状や年齢などに応じて、使い分けが必要なのでまずは医師に相談してください。

・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・帰脾湯(きひとう)
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
・抑肝散(よくかんさん)
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

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