バドミントンシャトルにつけられている「スピード番号」

ひとことで説明するなら、季節ごとに使い分けるための番号ですが、バドミントンをはじめて間もない方だと少しわかりにくいかもしれませんね。

そこで、今回・・・

  • シャトルのスピード番号って何?
  • 季節ごとにシャトルを変えるのはなぜ?
  • 今シャトルを買うなら何番にしたらいい?

という方に向けて、シャトル専門メーカーRSLが、どこよりも詳しく説明させていただきます。

意味さえ押さえればカンタン。もうスピード番号違いで失敗することはなくなるはずです。

バドミントンシャトルの性質について

まず、スピード番号を理解する上で大事な、シャトルの性質飛び方についてお話します。

シャトルの重量はわずか5g前後。A4のコピー用紙1枚とほぼ同じです。投げたり飛ばすものにたとえると、パチンコ玉と一緒です。

軽い割りに(体積が)大きいため、非常に空気の影響を受けやすいという性質があります。

この性質・形状こそが、球速の緩急を生み出し、バドミントンを面白くしているのですが、同時にある欠点も生み出してしまっています。

それは、環境(気温・気圧)差によって、「飛び方」がまるで変わることです。

まったく同じ強さで打ち出したとしても・・・

  • 気温が高いとシャトルは遠くまで飛ぶ
  • 気温が低いとシャトルはあまり飛ばない

 
ということが起こってしまいます。

なぜそうなるのか?をきちんと説明すると、かなり難しい話になってしまうので、かんたんにお話します。

まずは下図を見てください。

気温が高いと空気は膨張し薄くなります。そうなると空気抵抗が減るのでシャトルはよく飛びます。(図-左側)

気温が低い場合は空気は収縮ぎみで濃いまま。空気抵抗が増えるのでシャトルは飛びにくくなります。(図-右側)

気温や季節によって数十センチも飛距離に差が出てしまうのですから、球技の「球」としては、やはり難があります。

それを解決するためのアイデアが、次の「スピード番号」です。

シャトルのスピード番号とは

バドミントンのシャトルを作るとき、あえて「飛びやすさ」を数段階変えて作ります。

もちろん、気温などで変わる飛距離の違いを吸収するためです。

その飛びやすさに番号をつけたものが「スピード番号」です。

スピードというと「速度」をイメージしがちですが、この場合「飛距離」ですので押さえておいてください。

通常、1銘柄のシャトルに、2~5番のスピード番号が振られていて、下記「適正温度範囲」によって使い分けます。

適正温度範囲
  • スピード2番(夏用) 27℃~33℃
  • スピード3番(春秋用) 22℃~28℃
  • スピード4番(春秋用) 17℃~23℃
  • スピード5番(冬用) 12℃~18℃

上記温度は、体育館の室内温度。外の気温じゃないので注意してくださいね。

なお、スピード番号は、蓋の上についているシールで簡単に見分けることができます。

中のシャトルそのものには記載がないので、違うものが混ざってしまわないように注意してください。

シャトルのスピード番号を決める要素

スピード番号はシャトルの重量で決まる・・・と説明されていることもありますが、正確ではありません。

もちろん、重量はスピードを決める重要な要素です。単純に重いほうが遠く飛びますから。

ただそれだけでは、どうしても飛距離にバラつきが出てしまいます。

同じ重量のシャトルでも、直径や羽根の角度が違うと、受ける空気の抵抗が変わるからです。

▲ 重量・羽根の角度・円周の大きさの3要素が飛び方に影響します

シャトルは、天然の素材を使っているため、完全に同一のものは作れません。1つずつに必ず差や違いが出てしまいます。

だから、RSLでは製造したシャトルを全球打ち出して、実際に飛距離を計測しています。

当然、飛距離集中度は高くなり、同じ力で打ち出せば既定の範囲内に収まります。

もし、今お使いのシャトルの飛距離があまりにバラつくようでしたら、その製品はテストせず、重量だけで分類されたものかもしれません。

海外ではスピードを番号でなく、グレーンという重量の単位で表記しますから。

スピード番号についてよくあるご質問

Q1番変わるとどのくらい飛距離が変わりますか?

状況にもよりますが、同じ条件で打ち出せば約30センチ変わります。

ですので、試合で互いにシャトルを出し合う場合は要注意です。特に春先など季節の変わり目では、相手の出したシャトルのスピード番号を確認しておかないと思わぬミス(失点)につながります。

Qスピード2番と5番どっちが飛ぶの?

スピード2番よりスピード5番の方がよく飛びます。

環境的に夏はシャトルが飛びやすく、冬は逆に飛びにくいからです。実はこれ、結構なベテランプレーヤーの方でも、言葉にすればこんがらがります。2番(夏用)・5番(冬用)という覚え方が一番シンプルです。

Qスピード番号って各社共通?

基本的に各メーカー共通です。

ただし、海外製のシャトルをそのまま輸入して販売している業者のシャトルは違う場合があります。また、使用時期の短い2番・5番がないシャトルや、スピード番号自体ないシャトルもあるので、そういった製品を選んでしまわないよう気をつけてください。

Q1番から7番まであるんじゃないの?

スピード1番や6番・7番は、メーカーによってはカタログに載っていますが、通常は販売されていません。

スピード1番は高地(山間部)で使われることがありますが、ほとんど別注です。また、6番・7番に関しては、存在しないに等しいです。5番でもプレーができない程の寒い環境で、バドミントンは行われないからです。

Qスピード番号の違いで耐久性は変わる?

いいえ。変わりません。

スピード番号はあくまで分類。洋服でいうところの「サイズ」のようなものです。

「スピード5番は壊れやすい」と言う人もいますが、5番だからというよりは季節要因です。冬は乾燥や低温でシャトルには厳しい季節。どのシャトルも壊れやすくなってしまいます。

スピード番号の選び方とその目安

最後に、スピード番号の選び方をご案内します。

基本的には、シャトルを使うときの体育館の室内温度で選びます。

  • スピード2番(夏用) 27℃~33℃
  • スピード3番(春秋用) 22℃~28℃
  • スピード4番(春秋用) 17℃~23℃
  • スピード5番(冬用) 12℃~18℃

とはいえ、室内温度と言われても、ピンとこないかもしれませんね。

そんなときは、月ごとの大まかな目安をまとめましたので、参考にしてみてください。

上記は、本州(平野部)の参考例です。

寒い・暖かい地域の方は、お住まいの場所に合わせて調整してください。

また、標高の高い山間部だと、気温の他に気圧の影響が大きいので、番手を落として使うことが多いです。(3番の時期に2番など)

もう一つ補足すると、北海道では5番シャトルはほとんど使われません。ほとんどの体育館に暖房が入っているので秋~春まで4番を使うのが通例です。

よくわからない場合は、RSL公式直販ストアにおまかせください。お住いの地域・使用時期に最適なシャトルを選んでお届けします。

さて、ここまでシャトルのスピード番号について解説しましたが、いかがでしょうか?

スピード番号はバドミントンの競技を成立させる大事な要素。

日頃の練習でも、スピード違いのシャトルを使ったままだと、成果も半減しかねません。

ぜひ、正しい飛距離のシャトルを使ってバドミントンを楽しんでくださいね。